ファクタリングは世界中で利用されている資金調達方法ですが、日本と海外では仕組みや普及率、規模、法律の整備状況に大きな違いがあります。
特に、欧米では「企業の当たり前の資金調達」として広く浸透しているのに対し、日本ではまだ“資金繰りに困った企業が使うサービス”というイメージが残っています。

日本と海外のファクタリングの違いとは?

この記事では、日本と海外のファクタリングの違いを仕組み・文化・金融環境・法律の観点から詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 日本と海外でファクタリングはどう違う?
  • 普及率・市場規模の差
  • 海外ではなぜ一般的なのか?
  • 日本特有の課題(手数料・法整備・商習慣)

1.日本と海外のファクタリングは「普及率」「市場規模」「法整備」が大きく違う

まず最も大きな違いは、利用の一般化(普及率)と市場規模 です。

2.市場規模の違い|海外は日本の10倍以上のケースも

海外:巨大市場(欧州・米国が世界トップ)

欧州では「売掛金管理=金融サービス」として高度に発達。
米国では売掛金担保融資(ABL)・ファクタリングが法人向け資金調達の定番。
世界市場は日本の数十倍規模

日本:まだ成長途上

中小企業を中心に広がりつつあるが、欧米ほど普及していない。
市場規模は欧米の10分の1~20分の1程度
背景には、企業文化の違い・決済方法の違い・金融環境の差 が大きく影響します。

3.法制度の違い|海外のほうが明確に整備されている

海外(欧米)

ファクタリングが一般化しているため「債権譲渡の法律」「通知義務」「優先順位制度」「担保権の登録制度」などが発達しています。
特にアメリカでは UCC(統一商法典) により、債権譲渡・担保権のルールが明確でトラブルが少ないのが特徴です。

日本

日本では法整備が遅れており「二重譲渡のリスク」「通知義務の曖昧さ」「登録制度の弱さ」「ファクタリング業者の品質格差」などの課題があります。
最近は金融庁がガイドラインを出すなど改善が進んでいますが、海外と比べるとまだ発展途上です。

4.商習慣の違い|海外では“売掛金の売却”が当たり前

海外:売掛金=資産運用の対象

海外では、売掛金は「企業の資産」として積極的に流動化されます。

  • 売掛金管理の外部委託が一般的
  • ファクタリングは経営戦略の一部
  • 投資家が売掛債権を購入する市場も発達(債権流動化市場)

ファクタリングは「攻めの経営」の資金調達として利用されています。

日本:売掛金は“自社で管理”が基本

日本では「売掛管理は自社内の担当が行うもの」「売掛債権を売却するのは“緊急時”というイメージ」「未回収リスクは企業が抱えるもの」という文化で、売掛金を売却することに抵抗を持つ企業も多いのが現状です。

5.手数料の違い|海外は日本より低い傾向

海外:1~5%の手数料が一般的

欧米では競争が進んでおり、手数料相場は比較的低め(1%~5%程度)。
大手銀行系のファクタリング会社が多数。信用調査や売掛管理もセットになりサービスが安定しています。

日本:5~30%と幅広く、やや高め

中小の専門業者が多く「手数料の幅が広い」「透明性に差がある」「比較検討が難しい」という特徴があります。
特に2社間ファクタリングでは10~30%のケースもあり、手数料が利益を圧迫しがちです。

6.決済(支払い)文化の違い|海外は遅い、日本は相対的に早い

海外:支払いサイトが長い(60~120日以上も多い)

欧米では支払いサイトが非常に長く、キャッシュフローが悪化しやすいため「売掛金の現金化」「支払遅延リスクの回避」としてファクタリングが浸透しています。

日本:支払いサイトは比較的短い(30~60日程度)

日本は支払いが早い方で「倒産リスクが低い」「売掛回収の信頼性が高い」ため、ファクタリングが急務になりにくい背景があります。

7.海外のファクタリングは「包括的サービス」日本は「資金調達メイン」

海外の特徴

  • 売掛金管理(アカウントマネジメント)
  • 信用調査
  • 回収業務
  • リスク保証
  • 輸出入支援(輸出ファクタリング)

など“包括的な信用保証サービス”として提供されることが多いです。

日本の特徴

  • 資金調達としての「売掛金買取」が中心
  • 売掛管理は自社で行うのが一般的

つまり外国では“売掛金の管理パートナー”で、日本では“現金化するための金融サービス”という位置づけの違いがあります。

8.まとめ|日本と海外のファクタリングは文化・制度・市場が大きく違う

海外

  • 普及率が高い
  • 法制度が整備されている
  • 手数料が低め
  • 売掛管理サービスが発達

日本

  • 市場は成長途中
  • 法整備が不十分
  • 手数料が高く透明性に課題
  • 「緊急資金」のイメージが強い

日本ではまだ発展段階であるものの、銀行融資の審査が厳しくなる局面「中小企業の資金繰り需要の増加」「法整備やガイドラインの進展」「海外型サービスの上陸」により、今後は海外のように一般的な資金調達手段になっていくと考えられます。