知らないと損をする“資金調達の落とし穴”とは?
資金繰り改善の手段としてファクタリングを利用する企業が増えています。
しかし、税務や会計の視点から見ると、注意しておくべきポイントがいくつもあります。

本記事では、税理士の観点から見たファクタリング利用の注意点 を分かりやすく解説します。
1.まず理解すべき「ファクタリングは融資ではない」
ファクタリングは売掛金を“売却”して資金化する取引であり、借入ではありません。
そのため「貸借対照表に負債は増えない」「利息は発生しない」というメリットがあります。
一方で、売上の前倒しや資産の減少に近い性質も持つため、使い方を誤るとキャッシュフローが悪化することがあります。
2.手数料が「経費」ではなく“差額”として扱われるケースがある
二社間ファクタリングの場合、企業は売掛金を回収してからファクタリング会社へ支払う仕組みです。
このとき「売上:通常通り計上」「売掛金:通常通り発生」「ファクタリング手数料:売掛金の減額 or 支払手数料」と処理されます。
手数料の扱いを誤ると損益がズレるため要注意。
税務署から問い合わせが入ることもあります。
3.ファクタリング手数料は「損金算入」できるが...
ファクタリングの手数料は原則として損金(経費)として計上可能です。
しかし注意点が2つあります。
- 売掛金の譲渡損として扱う場合
- 支払手数料として扱う場合
どちらも誤りではありませんが、会計方針がブレると決算の整合性が取れなくなります。
毎期同じ処理を行うことが重要です。
4.「常用すると資金繰りが悪化する」典型パターン
税理士として最も多く見るのが、頻繁にファクタリングを使った結果、資金繰りが厳しくなる企業です。
典型パターンは以下
- 資金ショート→ファクタリング
- 翌月の売掛金が減る
- 再び資金不足→またファクタリング
これがループし、実質的に“売上の前借り”状態になることがあります。
長期的には資金残高が減り続け、最終的に資金ショートへつながる危険性があります。
5.税務調査で指摘されやすい3つのポイント
ファクタリングは不正利用が社会問題になったこともあり、税務署は以下の点を重点的にチェックします。
①売掛金の裏付けが正しいか
架空売掛金や虚偽請求を利用した不正が多いため、請求書・契約書・納品書の整合性を必ず説明できるように準備しましょう。
②手数料の会計処理が正しいか
同じ仕訳でも企業により処理方法が変わります。
税務署は“整合性”を重視します。
③ファクタリング会社の「実体」
反社リスクや違法業者に絡んだ場合、調査対象になる可能性が高まります。
6.取引先に“バレないため”の注意点
二社間ファクタリングでも、次の点を誤ると取引先に気付かれる場合があります。
- 入金後すぐに同額を別口座へ送金している
- 経理担当者が複数人おり情報管理が甘い
- 銀行通帳を社内共有している
- 会計事務所が売掛金の動きを不自然と判断する
取引先に知られたくない場合は、情報管理の徹底が重要です。
7.税理士が推奨する「正しい使い方」
ファクタリングは、適切に使えば非常に役立つ資金調達手段です。
税理士が推奨する使い方は以下の通り
スポット利用
一時的な資金ギャップを埋めるために使う。
再建計画・資金繰り表とセットで利用
翌月以降の資金繰り改善が見込める状況でのみ利用する。
売掛先の回収遅延リスクが高い業種向け
建設業・運送業・IT業など、入金サイトが長い業種とは相性が良い。
事前に会計事務所へ相談する
会計処理・税務リスク・改善策を含めてプロの助言を得ることで、余計なトラブルを避けられます。
まとめ|税務の視点を理解して賢く使えばリスクは低い
ファクタリングは「スピーディーに資金調達できる」「負債が増えない」というメリットがある一方で、会計処理・継続利用・税務調査・資金繰り悪化といったリスクも存在します。
しかし事前に税理士と相談し、“計画的に使う”ことができれば、非常に有効な資金繰りツールとなります。
